文化系ブログ

アート、小説、音楽、映画、文化に関すること全般を雑談的に。

堤清二氏とセゾン文化の文化的功績は、文化のインフラを作り、カルチャーへの階段を架けたこと

昨年の11月、元セゾングループ総帥、堤清二氏が86歳で亡くなった。 堤清二という人と、その「文化的功績」に関して、少し書いてみたい。 彼は80年代、それまでになかった形で、文化のインフラストラクチャーを作った、それが彼の功績だと思う。それは「…

佐村河内氏のゴーストライター問題で「永仁の壷」事件を想起して思ったこと

【佐村河内氏のゴーストライター問題と「永仁の壷」事件】 佐村河内守氏をめぐるゴーストライター問題、私はこの分野の話に疎いので、何が問題なのかがずっと腑に落ちていなくて、今でも完全に理解したとも言えないのだが、要は作曲家の新垣隆氏が佐村河内氏…

表現の永遠の課題:作り手としてやりたいように表現するのか、誰にでも分かりやすく表現するのか

スタジオジブリの広報誌『熱風』が届いた。今回いろいろ考えさせられたのが『かぐや姫の物語』を見た「爆笑問題」の太田光と、高畑勲監督との対談。『かぐや姫の物語』は線で囲って色で塗り籠める「普通の」アニメに対し、ラフな線が動き、すべてを塗り尽く…

磯崎憲一郎「終の住処」を読んだ。(その1):「われわれの世代の小説」が現れたと感じた。

磯崎憲一郎「終の住処」を読んだ。 面白かった。冒頭を読み始めたときは「この小説最後まで読めるのかな」と心配しながら読んでいたのだが、最初の新婚一日目のエピソードまで読み終わったところで芥川賞の選評を読み、また6ページにわたる作者インタビュー…

土方巽の舞踏『夏の嵐』をYouTubeで見た。目の覚めるような舞台だった。

Summer Storm - Tatsumi Hijikata (1973) - YouTube 土方巽(ひじかた・たつみ)の舞踏をYouTubeで見ていた。目の覚めるような舞台だった。 今まで舞踏系のものは生でいくつか見ているのだけど、録画であるのに今まで見た中で一番よかったように思う。土方と…

芥川賞を受賞した小山田浩子さんの『穴』を読了。何が書いてあるのかわからない、不思議な小説だった。

小山田浩子『穴』を読了。何が書いてあるのかわからない、不思議な小説だった。 金曜日の夜にamazonから届いているのを確認し、少しずつ読んで、日曜日の午後の先ほど読了した。100ページ弱の作品なのに、なんだか思ったより読むのに時間がかかってしまった…

五十嵐大介さんの絵本、『人魚のうたがきこえる』を読んだ。『進撃の巨人』にも通じる自由へのあこがれが描かれていた。

五十嵐大介さんは、先ごろ橋本愛さんの主演で『リトル・フォレスト』が映画化されることが一部で話題になった(私もエントリを書いた)。 五十嵐さんの作品をご存知の方にはうなずいていただけると思うが、マンガ家というよりその書き込みのセンス、またカラ…

『ゼロ・グラヴィティ』は中年のキャリア女性が主人公の、無重力をリアルに描いた宇宙空間・人間ドラマだった。

『ゼロ・グラヴィティ』を見た。私はめったにハリウッド映画は見ないのだけど、ツイッターで強くお勧めをいただいたので、これは見たほうがいいと思い見に行った。ぜひ「IMAX 3D」で、ということだったので、調べてみて川崎の109シネマズで見た。 予備知識と…

「ユニットバス発想法」を思いつきました。暗闇の中で自由な感覚を取り戻し、新しい発想を生み出すための方法です。

ユニットバス発想法、というものを思いつきました。 これは、ユニットバスリラックス法、と言った方がいいかもしれません。 とにかく、裸になってお風呂に入り、真っ暗にして湯船につかる、というものです。そうすると何も見えないから目が休まります。湯船…

相模湾にのぞむ青い海の葉山で、ロシア・アヴァンギャルドのポスターを見た

神奈川県立美術館・葉山館へ、ツイッターで見つけた『松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて:ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム』展を見に行った。 松本瑠樹はDCブランド「BA-TSU」のデザイナーであり創業者であった人だと…

得られるものは、自ら求めたもの

久しぶりに、生け花の本を買って読んだ。『別冊太陽 川瀬敏郎「花に習う」』(平凡社、2007)。丸善で、何も買いたい本がなく、それでもいいかと思って立ち去りかけたとき、ぱっと目に入ってきたのがこの本だった。 以前少し生け花に凝った時期があって、と…

『川の少年』は自分の中の少年の苦さと熱さと、生と死への畏れを思い出させてくれる作品だった。

2013年はあまり小説を読まなかったのだが、その中で一番印象に残ったのが1997年に書かれた(日本発売は2003年)ティム・ボウラー『川の少年』"River Boy"だった。 この小説は、田舎に向けて家族で車を走らせるところから始まる。 主人公のジェスは、泳ぎが好…

『吉岡徳仁―クリスタライズ』展は、「何か」の刻印を感じる展覧会だった。

木場公園の東京都立現代美術館で、『吉岡徳仁―クリスタライズ』展が開催されている。 私は12月22日、冬至の日に現代美術館に出かけた。これはすごく印象の強い展覧会だった。入ったところからなんだかぼーっとしてしまって、なんだか夢うつつのうちに神秘の…

『くるみ割り人形』を聞いてチャイコフスキーが描きだすロシアの幻想性について考えた

帰って来る途中でFMをつけたら『くるみ割り人形』の「金平糖の踊り」が流れてきた。この曲は曲として聞くというより、バレエの伴奏として耳にする感じなのだけど、こうやってステレオで聞いていると、なんだか懐かしい気持ちになってきた。 モーツァルトに…

Eyes and Wind

Eyes and Windというのは、私が1999年から2005年までWEB上で書いていたWEB日記の題名だ。この日記はすでにウェブ上からは削除しているが、今回、新たにアート、小説、音楽、映画などについてまとめたブログを作るにあたりいろいろ題名を考えて、この題が自分…