文化系ブログ

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土方巽の舞踏『夏の嵐』をYouTubeで見た。目の覚めるような舞台だった。


Summer Storm - Tatsumi Hijikata (1973) - YouTube

 

土方巽(ひじかた・たつみ)の舞踏をYouTubeで見ていた。目の覚めるような舞台だった。

 

今まで舞踏系のものは生でいくつか見ているのだけど、録画であるのに今まで見た中で一番よかったように思う。土方というダンサーの肉体の素晴らしさ、美しさというのもあるのだけど、本当にきれいだと思う。

 

今まで自分の見てきた舞踏で言うと、麿赤児大駱駝艦にはすごく生命力を感じたし、和栗由紀夫には可笑しみを感じたし、山海塾にはアート性を感じたけれども、土方巽はそのどれとも違う、踊りとしての美しさ、デリカシー、表現の複雑さのようなもの、またある種ヨーロッパ的な引用のようなものを感じた。

 

特に、上の映像の1分30秒ごろに出てくる女性は、ノートルダム寺院の破風に彫刻された怪物のような感じで、これは凄い、この舞台は絶対いいに決まっている、と思わせるものがあった。

 

大野一雄もそうだったが、土方ももともとモダンダンスの出の人のようで、つまり最初から暗黒舞踏のメソッドで修業したのではなく、日本のモダンダンスの歴史のようなものが体内に入っている感じが表現の複雑さとか陰影というものを醸し出しているのではないかと思った。私は土方さんの踊りも肉体も振り付けも好きだなと思う。

 

土方巽 絶後の身体