文化系ブログ

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『吉岡徳仁―クリスタライズ』展は、「何か」の刻印を感じる展覧会だった。

吉岡徳仁  クリスタライズ

木場公園の東京都立現代美術館で、『吉岡徳仁―クリスタライズ』展が開催されている。

 

私は12月22日、冬至の日に現代美術館に出かけた。これはすごく印象の強い展覧会だった。入ったところからなんだかぼーっとしてしまって、なんだか夢うつつのうちに神秘の世界を通り抜けてしまったという感じだった。

 

水中で二つの成分を融合させて結晶をつくる過程に、音楽を鳴り響かせ、その音楽によってできる結晶の形が違うという驚き。なんというか、自然とデザインと工業と科学の融合みたいな手法で、でもできるものはそのどれとも違う自然存在の凄さみたいなものが多い。

 

なんというか、「刻印」という言葉が思い浮かぶ。自然人間が与える、取り返しのつかない「刻印」のようなものが、そこにあからさまにリアルに展示されている、ということを思った。

 

人の作ったものは、そのつくった人の思想や考えていることが何らかの形で影響するわけだけど、この作品群は結晶の自然の過程の中で出来上がって行ったものだから、こちらの理解を拒否するようなところがある。それなのに容赦なく暴力的なまでに人の何かが刻印されている。

 

素直に凄い、と思った展覧会だった。1月19日(日)まで開催されている。