2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧
ビアトリクス・ポターの伝記映画『ミス・ポター』を観た。 この作品は2006年に公開された映画で、「ピーターラビット」シリーズの著者であり、湖水地方のナショナルトラスト運動の祖としても有名なビアトリクス・ポターを演じた主演のレニー・ゼルウィガーの…
トランストロンメルの詩は朗読したくなる詩だ。 つよい、ということはワンフレーズワンフレーズの意味が取りやすい、ということでもある。 詩と言っても私はやはり今までは抒情詩的な方面に偏っていたから、言葉の意味というより何かの発露としての表現とい…
トマス・トランストロンメルの詩集『悲しみのゴンドラ』増補版(思潮社、2011)を読み始めた。 トランストロンメルと言ってもぴんとこないと思うが、2011年のノーベル文学賞を受賞したスウェーデンの詩人だ。 芥川賞とノーベル文学賞はなるべく読むことにし…
ドメニキーノ『クマエの巫女』 このブログの表題を、『文化系ブログ』と改題することにした。 「Eyes and Wind」というのは、私がずっと以前、今世紀初頭ごろに「まなざしとかぜ」という写真サイトをやってて、その写真に文章をつけて何かポエジーを発生させ…
浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』(新潮新書、2013)読了。題名から感じる雰囲気とは全く違い、19世紀中盤の音楽史・文化史を概観し、またリストという巨大な天才の生涯を概観することができる素晴らしい本だった。 リストはイメー…
松田奈緒子『歌』(ホーム社、2013)を読んだ。 昨日は銀座に出かけて教文館書店で本やマンガを見ていた。2冊買ったのだが、1冊は浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』で、もう1冊はこの本。ぱらぱらと立ち読みした感じが面白く、久…
(その4)からの続きです。 私が久しぶりに映画館に足を運ぶ気になったのも、そうした創作者としての彼女の姿に出会いたかったのだなと思う。そしてそれは、十分にかなえられた。 特に前半のデビューまでの苦闘は、とても見ごたえがあった。後半は少し間延…
(その3)からの続きです。 内面の激しさが自らの身体まで蝕みながら、そうしてまで描き続けた彼女の絵は、甘いだけのものであるはずがない。パンフレットでスタジオジブリの高畑勲が描いていることだが、「描かれた子供たちはほとんど笑っていない」。そう…
(その2)からの続きです。 ちひろの一生は戦いの連続だった。そしてそれは、特に若いころは、必ずしも褒められた戦い方でもなく、そうであるからこそちひろは傷つきながら戦い、描き続け、惜しまれながら早く亡くなってしまったのだろう。 女学生時代から…
(その1)からの続きです。 映画『いわさきちひろ―27歳の旅立ち』を見て、自分の中でいわさきちひろの絵の見方が変わったことが如実に感じられる。 ただかわいいだけの子どもの絵に、なぜ動かされるのだろうかと、それが不思議でならなかったのだが、はっき…
2012年8月のことになるが、スタジオジブリの広報誌『熱風』で、いわさきちひろの評伝映画、『いわさきちひろ―27歳の旅立ち―』(海南友子監督作品)が特集されていた。それを見て、有楽町に見に行くことにした。 私は、いわさきちひろについてそんなに何かを…
2月28日に出た『週刊漫画Times』に、『図書館の主』第66話(後半)が掲載された。 このマンガは、とある私営の児童図書館を舞台に、子どもたちや司書たちの人間模様を描きながら、児童書と関連付けて、児童書が子どもたちだけでなく、多くの人々の人生の…
詩人のまど・みちおさんがなくなった。104歳。天寿を全うした、と言っていいのだろう。 生まれたのは1909年。詩人として認められたのは昭和9年、雑誌『コドモノクニ』に応募した作品が北原白秋によって特選に選ばれたことだったという。 誰でも知っている代…